昨日の朝、久しぶりにサヴァリッシュのブラ2を聴いた。
以前は本番が近いとその曲を寝ても醒めてもというのは大げさにしても、
それこそ朝も晩も聞いていた鉄子。
だけど、ここ1年半くらい、本番とは全然関係ない曲ばかりを聴くようになった。
全然違う曲と曲が突然ふっとつながるような感じが、
夢で見たあるシーンを突然思い出す、みたいな感覚と似ていて、
最近はもっぱらそういうのを楽しんでいた。
でも、あ・・・って思っても、本当に夢のように忘れちゃうのが、大変残念な脳みそなんだけど(苦笑)
話は戻ってサヴァリッシュのブラ2、
久しぶりに聴いて、自分が思っていた以上にこの曲が大好きだったんだってことを
あらためて知ることになって、ふっと笑ってしまった。
笑ってしまったのは、なんといったらいいのか、ほんとに走馬灯のようにこの半年のことが思い出されて、それがおかしかったから、かな。
どうふるまっていようと、もともとの性質は自己完結型のわたくし。
指揮者に「人にお願いとかしたことある?」 なんて見抜かれちゃって驚いたんだけど、
人にお願いするのは苦手だし、納得できる範囲で、自分でやってしまう方が楽なタイプだ。
仕事でも今この厄介な気質をもう少しどうにかしなければと直面している目下の課題でもある。
よっぽど気の置けない間柄の人にしか本音は漏らさないし、
とりわけこのオケは、大きすぎてどこに立ってよいのかわからず、
何か変えたいと思っても太刀打ちできそうになくて、ずっと一定の距離感を保ってきていた。
それなのに、何を思ったか、今回の本番に向けては、自分自身の演奏ではないところで
ガラにもなく随分と無理をして、途中で 「無理」 って声にもだせないくらい
しんどくなって札幌の師匠にほとんど無言電話(笑)したくらいだった。
なぜそこまで? と 働かなくなった頭で考えても全然わからなかったし、
身体が無理だ無理だと悲鳴をあげている中、なんとか本番に照準をあわせて
ぎりぎり間に合うか??みたいな綱渡りになっちゃったんだけど、
久しぶりに、原点に戻ったら簡単に答えが出た。
この曲は、自分だけ納得すればそれでいいっていう曲じゃなかったからなんだなと。
ブラ2に限ったことじゃないはずなんだけど、だけど私にとっては、
そのくらいトクベツな存在だったんだぁ・・・と。
心底この曲に惚れこんでるから、目に見えない何かに魂が突き動かされて、
オーケストラのみんなで、願わくば聴きにきたお客さんとも
本当に素晴らしい曲だねって一緒に思いたかったんだなと(笑)
よくわからない何かの力、に突き動かされて翻弄されていた自分の姿が妙に鮮明に、
映像のように写しだされた様な気がして、それでおかしくて笑ってしまった。
正直私自身は今後も同じようにできる余力が残されているとは全く思えないんだけど、
それでも確実に水の波紋が広がるように温かな動きも感じられたのも事実です。
私自身は周りの力を頼りにただ吹いていただけだったことに気付いたり、
オーケストラで音楽をつくるっていうことに初めて面と向き合ったような気もした半年でした。
ま、本番は神様も魔物も居るから、神のみぞ知るだけど(笑)
音楽っていうのは出会ってから10年越しで(笑)神通力発揮しちゃうような、
そんな不思議な力をもっているのかと、人生30余年にして初めて体験したのであります(笑)。