2012/12/16

静かな湖畔



ホルンを吹くときいつも一緒の魔法の箱がありました。



嬉しいことも悲しいことも全部そこにしまってあって、

鍵がかかっていて、

それをコツンと叩くとイメージが膨らむ、

鉄子にとっては とくべつ の 魔法の箱で、

いつもその箱と一緒でした。

だけど、ついその箱のことを疑ってしまったんです。

箱は跡形もなくなり、綺麗にしまっていた色んなものが噴き出しました。



全部それを受け止めて昇華したら違う自分に生まれ変われると思っていたけれど、

跡には  からっぽ 


しか残っていない感じです。


今まで感じたことがないくらい、すごく静かです。



だけど、何の感情も意欲も湧いてこなくて、この瞬間の自分にとどまってるのがやっとで、

ふわふわで、空ろで、たよりない感じ。




魔法の箱の代わりを見つけて、




何かを吹きこまないと、仕事をしたりとか、ホルンを吹けない気がして、



だけど自分では、何を込めたらよいかわからないからここに来ました。





冬の本栖湖は、


空気が澄んでいて、


静かな湖面









 





 






太陽は、




凛と冷え切った空間に力強く切り込んできて、


光を届けてきた。







ものすごく遠くにあるはずなのに、




ちゃんとここまで温かい。










吹き込む何かは見つからなかったけど、


でも美しい自然は、悩んだりじたばたしたりしないで、


いつもただただそこに在る、そんな当たり前のことだけど


それでいいのかな、って思わせてくれる。